また、桜の国で 1
私の住む場所も桜が満開になり、そして散りはじめてきた。
住んでいるすぐのところが有名な花見スポットで川沿いの桜がぽっと灯火のように明るく色づく。
そんな中買ったのが、須賀しのぶの
また、桜の国で。
ロシア人のハーフである慎が第二次世界大戦勃発直前のポーランドに日本大使館の書記として赴任。
と、いうところまでしかまだ読めていないのだが、一度感想を。
慎の自分が何者かわからないという気持ちにとても共感したからだ。
私は父が日本人、母が韓国人のハーフだけど、韓国語は話せない。まるっきり日本人として育ってきた。小学生中学生と特になにも言われてはこなかったし、ハーフだといえば羨ましがられたから少し得意だったと思う。
そんな中、大学の時に好かれていたある先輩に韓国人とのハーフだと何気なく言った時に、
「俺は韓国に対して偏見は持ってないから全然大丈夫だよ」
と、言われた。
びっくりした。
なにが大丈夫なの?
わざわざ偏見を持ってないと宣言するのは、それは偏見ではないのか。
それから韓国に対してある一部(大部分かもわからない)に対する日本人の感情が少しずつわかってきた。
私は自分がずっと日本人だと改めて思うこともないほど日本人だと思ってきたけど、もしこれから会う人や、付き合う人、果てには結婚する相手や親族にそういう目で見てくる人もいるかもしれない。
私はなんなんだろう?
この気持ちは人に言うことはなく、ずっと心の中で燻り続けていた。
話を戻すと、この本の中で自分が何者かという問いが序盤で出てくるのだ。
まず主人公の慎。彼はロシア人の父を持ち、見た目も日本人離れしていて日本にいた少年時代少なからず、というか私よりももっと深刻にこの問題に直面している。
そして最初に出会うヤン。
度々戦争でドイツに組み込まれたり、ポーランドになったり、しかし自覚はないけれどユダヤ人とナチスには判断される。
人種について、人との関係性について、
そして戦争が絡みつき非常に読み応えのある本になっている。
まだ100ページほどしか読み進めていないが、どう彼らが帰着していくのか非常に楽しみだ。
読み終えた時、私の中に燻っている感情もまた変化していくことを願って。
また読み進めようと思う。